前回は、母乳育児を開始するまでの「準備編」をお伝えしました。今回は、いよいよ赤ちゃんが産まれてからの実施編です。

皆さんの頭の中に「初めてのおっぱい!」の具体的なイメージができているでしょうか?

出産を経験した方なら、ある程度イメージが湧くかもしれませんが、初めての出産の場合はどうしたらよいのか全く見当もつかない状態だと思います。

理想の授乳は、出生後2時間以内

ここで、質問です。

皆さんは「赤ちゃんを出産してから、どれくらい時間がたってから授乳すると思いますか?いや、したいですか?」

あらためて、こんな質問をされると、「考えたことなかったーーー!」と聞こえてきそうです(笑)

例えば、動物の出産シーンをテレビなどで観たことありませんか?赤ちゃんは生まれてすぐにお母さんのおっぱいを飲んでいますよね。哺乳動物は、生まれてすぐに母乳を飲む(哺乳といいます)のが本来の姿なんです。

つまり、人間も同じです。赤ちゃんが産まれたら、できるだけ時間を置かずにおっぱいを吸わせてほしいのです。

理想は、出生後2時間以内くらい。

どうしてかは後ほど説明します。

でも・・・・。産婦さん(ママ)は、出産後は分娩台、またはお布団の上で2時間は安静臥床を強いられます。(理由は、産後の出血の量を確認するための大切な時間です。)そんな状況下で、自分ひとりで授乳するのは至難の業ですよね。

ですから、助産師さんやスタッフさんに前もって「赤ちゃんが産まれたら、すぐにおっぱいをあげたいです!!」と伝えておいてください。そうすれば、可能な範囲でスタッフが授乳の介助をしてくれますよ。

*助産院での出産であれば、そんな心配は無用ですので!

ただし、次のような状況の場合、出産後すぐの授乳は難しいことがあります。

  • 赤ちゃんが元気がない、酸素投与が必要など、赤ちゃんの要因
  • 母体の疲労が大きい、出血が多いなど母体の要因
  • スタッフが授乳介助する時間的余裕がないなど、病院側の要因

なぜ、2時間以内がいいの?

それはなぜかと言いますと、生まれたばかりの赤ちゃんは約2時間くらいは覚醒して、お目目をパチパチさせています。とっても可愛いんですよー♡

その赤ちゃんが起きている時間にぜひとも1回目の授乳をしてもらえると嬉しいです。赤ちゃんは、お口の中にママの乳頭が入ってくると、最初はぺろぺろ確認して、それからちゅぱちゅぱ上手に吸い始めます。

何度見ても「赤ちゃんの生きる力って素晴らしいなー!」と思います。

そして、お母さん自身も初めての授乳(その子にとって)に感動を覚え、母性がグンと芽生える瞬間なのです。出産という、ものすごいストレスを乗り越えて産まれてきた赤ちゃんは、約2時間を過ぎたころから、眠りに入っていきます。。。頑張ったね♡

そしてもう一つ、大切な理由があります。

それは、哺乳という「乳頭の刺激」によって、母体の子宮収縮を早めてくれるという素晴らしい効果があるということです。病院によっては、産後に子宮収縮剤というお薬を使うところもありますが、哺乳は天然のオキシトシン(子宮をもとの大きさに戻そうとするホルモン)が分泌されるんです!!

これぞ、母子相互作用♡です。

産後2時間以内の授乳が叶わなかったとしても焦る必要はありません。可能な範囲で、母乳を開始していただければと思います。

あ!一つ言い忘れておりました!

母乳は、すぐには出ませんのでー!(稀にすぐ出る人もいますが(笑))出ないからといって、吸わせなくていいということでは決してありません。

産後2~5日目くらいから少しずつ分泌量が増えてきますので、それまでは焦らずに、「赤ちゃんの吸う練習!」「ママの授乳の練習」と思って、練習を重ねてください。

赤ちゃんに、ママの乳首の感触をしっかり覚えさせておくことが大事です。

BFH(Baby Friendly Hospital)

母乳育児を全面的に推奨している「赤ちゃんに優しい病院」に認定されている病院であれば、妊娠中から具体的な説明や教室が行われているかもしれません。興味のある方は、おちかくにBFHがあるかどうか調べてみてくださいね。

日本母乳の会HP
http://www.bonyu.or.jp/